蒸気機関車の技術史

当会相談役(前会長)齋藤晃の蒸気機関車に関する4冊目の著作。交通研究協会による交通ブックシリーズ(陸上交通、海上交通、航空交通で100冊)のうちの1冊として成山堂から出版された。歴史上陸上交通の原点として1世紀半にわたって進化してきた蒸気機関車の技術的な発展史である。
工業化の遅れた日本は世界の蒸気機関車の技術の中で存在感は極めて小さく、進化を支える独自開発の技術を持てなかったので、同じ見方で歴史を追うことはできない。そこで前半を世界史として大きな流れをスピードアップのための設計コンセプトの発展史で捉え、後半尺度を変え日本史として明治以来の輸入、国産化の歴史を追っている。
日本史には比較の対象としてあまり日本では馴染みはないが、島秀雄も強い関心を持った同じ3'-6"の南アを引き合いに出している。
日本の機関車をクールに眺めた著者独特の歴史観とZゲージサイズの手書きの機関車のプロフィールが見ものだ。


2009/01
著者齋藤 晃
発売元交通研究協会
価格1680円

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